11月に入り、新しいテイクアウトのメニューとして
試験的にアメリカーノの提供を始めました。
皆様はアメリカーノというコーヒーをご存知でしょうか。
アメリカーノとは、エスプレッソにお湯を注いだドリンクのことです。
お湯で割ることでエスプレッソ単体で飲むよりも、濃さのインパクトが弱まり
気軽に素材そのものを楽しめるコーヒーとなっております。
恥ずかしながら、私はこのコーヒーの美味しさをあまり分かっておりませんでした。
個人的に「アメリカ」という単語を避けてきましたし、なんとなくチャラチャラした飲み物なのかなと思っておりました。
それがエスプレッソの提供を始めてから、コーヒー好きの常連様や、以前当店で働いていた男性スタッフから
「アメリカーノが飲みたいです」と、何度か要望を受けておりました。
半信半疑の気持ちを抱えながら、試しに一杯つくってみると…
「なぜ、このコーヒーの美味しさに自分は目をつけてこなかったのだろう」
と思わせる、そんな初めての試作でした。
また、彼の言葉を思い出します。
「コアなコーヒーマニアは、ひそかにアメリカーノを欲しがっているんですよ…」
やっと、その意味が分かりました。
●エスプレッソ単体ではすぐに飲み終わってしまいますが、アメリカーノはお湯で割ることで、ドリップコーヒーと同等の量を楽しめます。また、私たち日本人に合ったコーヒーになるのだと思います。
●ドリップとは違い、ペーパーでろ過しないことで、コーヒー豆本来の味と心地よい油分をダイレクトに楽しむことができます。
個人的にですが、フレンチプレスよりも味がハッキリと分かるように感じました。
以上の2点が魅力なのだと思います。
しかし、アメリカーノをつくり続けているうちに、ある難しさに直面しました。
それは、風味と甘みを感じる美味しいエスプレッソを安定的につくり続けることです。
●まず、ロースト。コーヒー豆の風味が引き出せるポイントにピタッとローストを止めること。
●その豆をどれだけ寝かせるのか(エイジング)。
●最適なメッシュ(粉の粗さ)の調整。これは、一日のなかで時間によって変化します。
●そして、自分を含めたスタッフ全員の知識、技術、味覚を向上させること。
これらを考えると、頭が痛くなります。かた苦しさ100点満点です。
しかし、エスプレッソドリンクはデリケートなぶん、いくつもの点と点がつながったとき
ドリップコーヒーとは種類の違う美味しさが味わえると、私は考えております。
11月、試験的にアメリカーノを始めたことにより
デリケートだけど「いかに美味しいエスプレッソを抽出できるか」
そんな課題をいただいた気がします。
若いお店、回り道をしてでも
コーヒーと向き合っていこうと思います。
Lover’s Coffee