グアテマラ・エルインヘルト農園 イエローナンセ
このコーヒーの風味は、ミルクチョコやキャラメルを連想させます。
私は、このコーヒー以上に甘さに特化したコーヒーと出会ったことはありません。
当店の中では、このコーヒーをチョコレート系として捉えておりましたが、
もうひとつ、何か別の風味が存在するなとずっと感じておりました。
ローストする度にテイスティングを繰り返しますが
その風味が何なのか、毎回見つけることができません。
ぼんやりと浮かぶのは、食感がスッキリしたフルーツではなく、トロっとしたフルーツ…。
ぼんやり感じたとしても、「果実感があります」と伝えることはできません。
なにせ、伝える側の自分が分かっていないのですから。
そんな足踏みをしているなか…
最近、テイクアウトのメニューであるアメリカ―ノのコーヒー豆を、このイエローナンセに替えてみました。
さりげない酸味のコーヒーですから、圧力で抽出しても酸っぱくはならないだろうなと
それくらいの、大きな期待をしていないリトル穂積がおりました。
いつものようにエスプレッソを抽出し
お湯で割り、
カーテンオープン!
無表情の自分の前に現れたのは
マンゴー(を思わせる風味)でした。
コーヒーはコーヒーでしかないので、マンゴーと言い切ることは多少無理がありますが
トロピカルフルーツのような高い糖分、後味に残る甘いフルーツ感、口に入れたときのトロっとした質感。
やっと出会えたと思いました。
なぜ今まで、トロピカルフルーツ系の風味に出会えなかったのでしょうか。
それは、このコーヒーの場合、ペーパードリップでしか味を確かめていなかったためです。
コーヒーの風味は本来、植物性の油分に含まれております。
生豆の生産地やコーヒー屋は、カッピングといって、フィルターなしの挽いた粉にお湯を注ぎ、その液体の部分を勢いよくすすって、味を評価します。
ペーパードリップですと、ペーパーが油分をろ過してしまうため、
フルーツ感を感じても、それが何のフルーツなのか、分かりづらくなる一面があります。
当店では、お客様がコーヒーを淹れる状態と同じ状態で味を確かめたいという理由から
そして、良質なペーパーを使用しているため、味を確認しやすいという理由から
ペーパードリップで味を確かめておりました。
このように凝り固まった頭では、いつまで経っても前に進めません。
ペーパードリップは
均一な濃度と
微粉がカップの底に溜まることのない、きれいな液体
当店のドリップレシピによる、風味と厚みの抽出
そして、ひとつに集中すること(一種のヨガ?)が長所としてあります。
これらを良しとしてペーパードリップにこだわっておりましたが、ある意味では
コーヒーを一面的にしか見ていなかったのかもしれません。
油分をペーパーでろ過せず
金属フィルターで抽出するフレンチプレス
そこに圧力を利用して、短時間で抽出するエスプレッソ、そしてアメリカ―ノ
これらで試すことで、コーヒーの風味を様々な角度からお伝えしたいと思います。
きっと、コーヒーもさらに喜ぶはずです。
引き続き、私たちと一緒に
様々な風味を発見していきましょう。
Lover’s Coffee