お客様商売をしていると、いつも感じることがあります。
お客様とお店側との信頼関係は、1本の糸で結ばれるように築かれているということ。
そしてその1本は、とてもほどけやすく、とても細い糸です。
たとえお店を好印象に感じていただいたとしても、間違いで商品に髪の毛など異物が混じってしまったというものなら、今までの信頼は、一瞬で崩れると思います。軽はずみで言ってしまった、たったひとつの単語でお客様の気分を害してしまうことも。
家族や古くからの友人なら許してもらえるかもしれませんが、代金を頂戴するお客様には、その細くてほどけやすい信頼の糸を結んだままで保つために、常に丁重に応対したいと考えております。
私は前職のときに、90代半ばの女性のお客様から、ふとこう言われたときがあります。
「アンちゃんは頑張り屋でそれはそれでいいんだけど、何事も長く続けるには、“3む″を気を付けることが大事なんだよ」と。
詳しくお聞きすると
その“3む″とは「むり・むら・むだ」のことで、これらをいかに少なくすることが、健全に長く続けるコツだということでした。
子供の頃から、勝手に自滅する空しいパターンが多かった自分にとって、この言葉は刺激的ではなくても、心に響いたことを覚えています。
現在の自店に置き換えると、開業して1年とちょっとで、意気込むのは分かるけれど、地道にお客様と信頼関係を築くことが、とても大事だということ。
全国の有名な人、お店に刺激を受けることはいいのですが、その方々も突然飛躍したわけではなく、皆1歩ずつ挑戦していった結果、今の活躍があるはずです。当店はここで変に気張りすぎないよう気を付けたいところです。
当店は、これからお客様と地道に信頼関係を築いていくために、この春から、ひとつの試みを始めます。
現在のお客様と当店を結ぶ信頼の糸は、細くてほどけやすくても、少しづつその糸を太く束ね
いつかは、丈夫でほどけにくい、綱のような信頼関係を築くことを理想に。
当店なりに、商売の大事な点はこのあたりだと考えております。
次回は、その試みの内容をお伝えします。
Lover’s Coffee