3月6日でまん延防止期間が終わりました。本日7日から、ようやく試飲サービスを再開できることになります。
誰かに言われたから、また、そんな決まりがあったから、このサービスを休んでいたわけではありません。コーヒーのテイスティングは、どうしてもマスクを外すことになりますし、コーヒーマニアのお客様とは、風味についてたくさん会話することになります。空気感染と物への接触による感染を配慮しての判断でした。
引き続き感染対策には気を配りながらも、皆様に試飲のコーヒーをご提供できることは、私たちにとって喜ばしいことです。新しい農園をご紹介できるとき。やっとの思いでブレンドが完成したとき。改善した焙煎によって風味が向上したとき。それを実物で表現できないことは、少しもどかしいものでした。
私たちにとって試飲サービスとは、もっぱらgiveに徹しているに過ぎないもの。オカンの習性そのものなのです。このサービスには、新鮮なコーヒー豆を使用しますし、その都度沸かしたお湯とカップをご用意。そして、毎回集中してドリップ。当然ながら後片付けも。この一連の作業を開店から閉店まで絶え間なく続けます。こう言うとスマートではありませんが、土日祝日となると、私たちの疲労は相当なものです。しかし、私たちオカンは、お気に入りのめごい営業マンが来てくれたときのように、喜んでコーヒーをお出しします。そこには「情」しかないのです。
だって、考えてみてください。いまやコーヒー豆はネットでも簡単に買えますし、スーパーに行けば他の食材と一緒に手に入り、労力が少なくて済むではありませんか。そこをお客様は、わざわざガソリン代をかけて当店まで足を運んでくださるのです。情が働かないわけがないのです。
私たちが気を付けなければならないことは、サービスを良かれと思い、一方的にご提供してしまうこと。当然、まだ全国民がウイルス感染に注意しているだろうし、予定が詰まりただ急いでいるお客様もいらっしゃると思います。そんなお客様方にご迷惑をお掛けしないよう、必ず私たちは試飲されるかどうか一言お伺いします。もちろん、必要ない場合はなんの遠慮もなくお申し付けください。
「わざわざ、ここまで来てよかった」。そう感じながら、口もとに残る余韻とともに、家路についていただく。私たちは純粋にそれを願いながら、今日もコーヒーを抽出するのです。
Lover’s Coffee