2021.2.16 私は、今までスパイスを感じるコーヒーに出会ったことがなかった。このコーヒーに出会うまでは。このコーヒーとは、グアテマラの「ロズマ農園ナチュラル」である。
コーヒーの味覚表現にはスパイスの項目があるが、自分自身がスパイスの香りに疎かったため、テイスティングの際、その類いのコメントはなかなか出来ずにいた。この「ロズマナチュラル」は、赤ワインやチェリーといった赤い果実の風味が基本にある。しかし、このコーヒーだけは果実味だけではなく、なにかスパイスの気配があると感じていた。
年始のある日、S木さんというお酒のテイスティングに長けた方が来店された。私の兄貴的存在だ。私は彼にこのコーヒーを提供し、何かスパイスを感じないか質問してみた。やはり彼はさすがだった。
「山椒の香りがわずかにする」
信頼する彼に言われたものだから、私はもう、そのスパイスは山椒しか感じない。正確に言えば、世界に共通するコメントとして山椒は通じないのかもしれない。しかし、S木さんが言ったのだから、そんなのどうでもよいのだ。
山椒といってもそれが全面に出てくるわけではない。このコーヒーの基本は果実味、そこにかすかに山椒の顔が見え隠れする、そんなニュアンスだ。クセがあるというよりも、心地よさでいっぱいのコーヒーであることを付け加えておきたい。
Lover’s Coffee