商品のこと

Colombia Miraflores

現在の商品ラインナップにおいて、店主の私には、特別に好んで扱っている豆が2つございます。その2つとは、当店の代表的なブレンド「ひとつ星」と、コロンビアの「ミラフローレス農園」のコーヒー豆。ブレンドに関しては過去にも何度かご紹介しているので、今回は「ミラフローレス」についてお話します。

この豆は、コロンビア特有のカスティージョという品種で、比較的粒が大きく、分厚い形状をしております。風味としては、柑橘系の酸が強い印象。この豆を浅めに焙煎すると、酸が強く出過ぎてしまい淡泊な風味となるため、私は、品のある心地よい酸を目標に、中深煎りで焙煎を仕上げております。

一言で言うと「フルーツチョコレート」といったイメージ。飲み始めはチョコレートフレーバーを感じ、温度が落ちていくごとに、カシスやブラックベリー、クローブやバニラといったニュアンスも。上品でありながら、加えて濃密なボディが備わっていることで、派手な印象はなくとも、評価のあらゆる項目で高得点をあげたくなるコーヒーです。

 

 

巷で流行しているようなスペシャルティコーヒーは、どこか浅煎りばかりを偏重しており、「華やかさ至上主義」のような風潮を私は感じてしまいます。それもそのはず。コーヒー生産国で行われる品評会では、ある一定の浅めに設定された焙煎度合いにより、すべての豆を評価します。もちろん、高得点の豆は申し分ない美味しさなのだけれど、もう少し深めに焙煎されることで持ち味を存分に発揮する豆が数多くあるような気がしてなりません。多くの豆の評価は、華やかさやフルーティさ一辺倒で、ボディや滑らかさ、余韻の長さ、温度変化による奥行き、良質な苦み、については軽んじられているように思います。

当店のお客様を筆頭に、日本人の好みはそんな単純ではありません。私たちは、風味が奥ゆかしい和食に親しんでいます。丁寧にとったダシなどの旨味を求めますし、春の味覚であるふきのとうのような良質な苦みも好みます。香り重視の欧米の価値観が全て正解だと捉えず、私たちは舌で感じる触感を含めた幅広い評価項目をもって、もっと堂々とコーヒーの好みを主張して良いのです。

このまま言い続けると私は止まらなくなるため、話を戻して、この「ミラフローレス」を美味しく飲んで頂くためのポイントをお伝えします。

それは、粉の挽き目を若干粗目の中挽きとし、できれば濾し器を使って微粉を綺麗に除去すること。そして、焙煎日から少なくとも4日以上常温で寝かせることです。

 

 

このカスティージョ種は冒頭の通り少し大粒であり、焙煎することで炭酸ガスを他の豆より豊富に含みます。それゆえ、飲み頃が2週間以上続く息の長い商品となるのです。対して、焙煎初日から3日ほどは、炭酸ガスが豊富すぎるために風味が曇ったような印象です。ガスが少しずつ抜けていき、焙煎日から4日以上経過した頃、より風味のイメージが鮮明になる、という具合です。

最後に、ミラフローレス農園の取材動画をご覧ください。標高2000mを越える高地において、ほぼ有機農法で栽培されているこの農園に想いを馳せながら、コーヒーを召し上がって頂きたいと思います。

 

 

 

 

Lover’s Coffee

 

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