コーヒー店の数だけ推奨している淹れ方がございます。どの淹れ方が正解だなんて、そんな野暮なこと私は言いません。お店によって扱う豆、道具が違います。そして、それらを総括する店主の考え方や趣味趣向がそれぞれ違うのです。今回お伝えする内容もひとつの考え方であり、絶対的なものではありません。あくまで参考程度にご覧くださいませ。
当店は様々な豆をペーパードリップで淹れておりますが、コーヒーの質感の部分に焦点を当てると、共通したある特徴があります。それは、舌の上で感じる「とろん」とした滑らかさです。わかりやすく、とろみと言っても良いのかもしれません。質感にとろみがあることで、口の中でコーヒーの風味が広がり、後味が長く留まるのです。これは、当店がかなりこだわっている部分であり、お湯が粉の層を何度も浸透するペーパードリップだからこそ、成しえることです。
では、粉に対してどのようにお湯を注げば良いのでしょうか。ポイントは、粉の表面に対してケトルの注ぎ口を近づけ、一定の高さで注ぐことです。イメージは、お湯を粉の上に乗せるように。または、粉の層を、膨らんではしぼむを繰り返す風船と見立て、ケトルの先から空気を何度も注入するイメージ。前半は特にスローモーションです。
穴が小さく作られているドリッパーを使えば、一瞬、お湯が滞留し粉の凹みがスローになります。その膨らんだ粉の高さを保つように、何度も円を描きながら静かにお湯を注ぐのです。
そこで大事なのは、お湯を容易に細く注ぐことができる最適なケトル選びです。ネット上では沢山のケトルが掲載されており、何を選べばよいのか迷うと思います。そこで当店の最も推奨するケトルが、CAFEC(三洋産業)の「TSUBAME PRO」です。特徴は極細の注ぎ口。そして、ケトルの胴体から注ぎ口まで向かうアールの部分。この角度が絶妙であり、1番の長所だと感じております。当店がご説明する注ぎのイメージは、このケトルによって体感できるのです。
コーヒーの豊かな風味と質感を抽出できる、当店のペーパードリップ。もし、当店の淹れ方を参考にされる方は、このケトルの使用をご提案します。店内において、一言声をかけていただけたら、実際にお湯を注いで使用感をご確認できます。ぜひ、お気軽にお試しくださいませ。
Lover’s Coffee