残念なお知らせがございます。
人気商品の「Blend カリン」についてですが、10月10日前後を持ちまして終売となる予定です。原因は、内訳の豆4種類のうち、落ち着いたコクと厚みを出すために配合しているグアテマラの大粒品種が入手困難になったこと、また、手に入ったとしても仕入価格高騰により、現在の価格を維持できなくなったためです。他、3種類の豆も一斉に価格が上昇したこともあって、無理して提供しても続かないと判断致しました。
思えば10年以上も前のことです。私が初めて「Bean to bar chocolate」という、カカオ豆を焙煎してから完成の板チョコの状態まで、ひとつのお店が一貫して製造するこの業態を知りました。その際、今まで味わったことのない柑橘風味のチョコレートに触発されたことをハッキリと覚えています。柑橘系といっても特別な香料が混ぜられているわけではなく、それはカカオ豆の焙煎によって引き出されている自然由来の味わいでした。
そのわざとらしくない、ほのかな柑橘風味のチョコレートに私はハマり、是非、この美味しさをブレンドコーヒーで再現してみたいと考えるようになりました。のちに完成したブレンドコーヒーが、旧名「Lover’s Coffee #3」であり、今年に入り改名して「Blend カリン」となりました。なぜ名前をカリンとしたのか、そこは突っ込まないでください。
柑橘というと酸っぱさを連想しますが、主体はチョコレートであるため、重たさや厚みを表現する深煎りの豆が必要でした。その豆をベースに他の3種類を掛け合わせることで、飲み始めにチョコレートを、冷めてから柑橘を感じるブレンドコーヒーが完成したのです。豆の掛け合わせと比率に悩んだぶん、非常に達成感を感じたことを思い出します。今では懐かしいです。
今後は、完全に存在をなくすことはせず、過去に作成したブレンドコーヒーの数々に含め「Blend archive」(アーカイブブレンド、エスプレッソ)として、いつかご提供できたらなと考えております。
これで、当店のブレンドは「ひとつ星」の1種類に絞られます。これが、完成という概念のない、試行錯誤の連続でつくられる当店の看板商品となります。ブレンドカリンがなくなることは非常に寂しいですが、これもお店の移り変わりのひとつとして捉えていただければ幸いです。
Lover’s Coffee