継続的にご来店頂いているお客様へ、お伝えしたいことがございます。
ご常連のお客様は、当店の定番である豆から季節ごとに変わる豆まで、幾つもの種類の豆をご購入されたと思います。今回、そういった全ての豆に対して、豆の焼き方を変化させてみました。言いたいことを率直的に申し上げますと、風味が全体的に向上しており、「今までの風味はなんだったのか」そう思うほど自分の中で変化を感じております。
焙煎を担当している店主の私は、「どのポイント(箇所)で焙煎を止めるのか」いわゆる焙煎度合の見極めが、味づくりの大きな決め手だと考えておりました。
上の写真にある星印は、焙煎を止めるポイント(箇所)です。写真には星印が8つしかありませんが、本来、豆の種類ごとに焙煎を止める箇所をピンポイントで定めている為、種類の数だけ煎り分けることになります。毎回、ピンポイントの箇所を逃さず焙煎を止めることに、私は異常なこだわりを持っていました。確かに、スペシャルティコーヒーを焙煎するには、とても重要な概念です。ワンテンポずれるだけで味のバランスが変わっていくわけですから。
実は今回、この焙煎を止めるポイントは一切変えておりません。では何を変えたのかというと、ガス圧、いわゆる火力の上げ方です。今までも火力に関しては、自分なりの考えを持っていましたが、今回は今までの固定観念を全部取っ払いました。簡潔に言うと、火力の上げるタイミングを今までより小刻みに上げていき、豆に対してカロリーを速め速めに与えていきました。私の主観ですが、結果は今までよりも素材自体の甘さが増しております。私は、全ての豆にそれが表れていると感じますが、特に感じ易い銘柄は、ケニア、ニカラグアのリモンシーヨ農園、エチオピアのBUKU、ALAKA、コスタリカといったところでしょうか。
火力の上げ方を変えようと試みたきっかけは、悩んでいたエチオピアのALAKAの焙煎にあります。何度焼いても「もっと風味が発達するはずだ、ALAKAはこんなもんじゃない」、そう納得していない自分がいつも居ました。そこで、今までの焙煎過程を一旦崩し、試行錯誤を繰り返した結果、今回のような焼き方に辿り付きました。
コーヒーの美味しさは、抽出は別に置いておいて、生豆の質7割、焙煎3割とよく言われますが、私は焙煎の重要性はもっと高いものだと考えております。その中でも重要な要素は、豆の個性を引き出す焙煎度合を見極め、それを毎回再現すること。そして、今回のような焙煎過程の構築、焙煎機の性能、注意の行き届いたメンテナンス、そして、焙煎豆の新鮮さ。これらはすべて見えずらいところなのです。
これを機にもう一度、当店の定番の豆から飲み比べてみて下さい。変化を感じて頂けると私は嬉しいです。
Lover’s Coffee