多くの方が手に取って下さる当店のドリップバッグ。以下、「DB」と呼ぶことにしましょう。自己採点をすると、当店のDBは80点です。自分で80点と言うと、高評価なようで自虐的な点数とも言えます。なぜ、100点満点と言わないのでしょう。単に自信がないからでしょうか。実はそうでもなさそうです。
どう努力しても、DBが100点を取れない理由はただ1つ。それは「すでに挽いている(粉にしている)状態」の商品だからです。皆さまもご存知の通り、挽いた状態で保存した商品は、お湯を注ぐと、気持ちよく膨らみません。その理由は、コーヒー豆を挽くと表面積が莫大に大きくなり、酸化が急速に進んでしまうから。何度も開閉されたパッケージ内の粉は、その都度空気が出入りし、まるで切られてから時間の経ったリンゴや桃のような状態となります。果物は変色で酸化が確認できても、コーヒーは茶色のままであるため、酸化に気づかないのです。それに対して、挽いていないコーヒー豆は、焙煎時に発生する炭酸ガスを保持しており、その炭酸ガスが豊かな香りと質感を生み出す源となります。何より、ドリップしているときの膨らむ快感を約束してくれるのです。
そうなると、DBは80点も取れないのではと感じるかもしれません。でも安心してください。当店は80点を下回らないよう、いくつかのポイントにこだわり作製しております。箇条書きで挙げますと、ポイントは以下の通りでございます。
・コーヒーの粉の量は、大手他社製品よりも多めに使用すること。
・焙煎日から経過間もないコーヒー豆を使用すること。
・すべてスペシャルティーコーヒーの豆を使用。焙煎は自信をもって仕上げたものしか商品化しないこと。(これは当たり前か)
・ブレンドコーヒーは、0.1g単位で1個ずつ配合していること。(これが大変)
・1個ずつ微粉を取り除いて包んでいること。
これらのポイントすべてに共通して言えることは、当店の規模がミニマムであるが故に、1個ずつ手詰めをするという手間を惜しまず掛けられること。普通、DBは工場生産の商品です。原価を調整しながらいかに効率よく沢山生産できるのか、これを考慮すればするほど、上記のポイントと同じことをするのは難しくなります。最後にもう1つだけ余談を。工場生産のDBは、酸化防止のために窒素ガスを充てんさせているようですが、当店の場合は、新鮮な焙煎豆が自ら炭酸ガスを吐き出す性質を利用し、劣化を遅らせております。そのため、当店のDBは窒素ガスを注入しなくても、ひとつひとつのDBがふっくらと膨らんでいるのです。
あえて効率さに背を向けて、手堅く80点獲得を目指した当店のDB。飲み比べができるよう、様々な銘柄で作製しているため、ちょっとしたプレゼントやテイスティングに最適でございます。
この小さな商品がもたらす可能性に期待して。80点バンザイ!
Lover’s Coffee