コーヒーのこと

2021.10.2 数秒差の煎り止め。

 

私の見当違いでした。まさか、そこがベストポイントだったなんて。

去年の秋からずっと、焙煎度合に関して疑問に感じていた豆がありました。その豆とは、「グアテマラ・フォリー農園」のこと。焙煎度合を疑うといっても、浅煎りから深煎りに変更する必要があるような極端なことではありません。そのニュアンスは、たった数秒の差。要は、焙煎を3~5秒の加減で煎り止める箇所を変化させるということ。この豆は、今までも悪くはなかったのですが、風味と質感の部分が少しだけ未発達で、もう1段階向上できるはずだと感じておりました。

そうなると、すぐに改善すればいいだけの話になります。しかし、後半に進めば進むほど、目まぐるしく味に変化が起こるのがコーヒー豆の焙煎。私の焙煎機の場合、1回の焙煎につき、最低でも1キロ以上の生豆が必要となるため、もし、焙煎度合の変更で味がいまいちになってしまえば、その投入した生豆すべてが台無しになってしまうのです。そのため、ロースターにとって、焙煎度合の変更は勇気のいること。ほんの数秒の差により味のバランスが変化することで、お客様の評価も変わっていくのですから。

 

 

煎り具合を変更する怖さを感じつつも、やはり、この豆をもっと輝かせたいという気持ちが強くなり、煎り具合の変更を決意。今までの焙煎データを振り返ると、現在煎り止めしている箇所より前に設定すれば、質感は向上しないことはすでに把握しています。そこで今回は、ある目安の地点より2テンポ後ろ、時間でいえば約5秒後ろで煎り止めすることに決定。もし、これでダメなら秒数を刻むか、更に1テンポ後ろにするか。

気になる結果は、やはり、5秒後ろがベストポイントでした。スペシャルティコーヒーは本当に不思議です。深く焼けば酸味は少なくなり苦みが増すのが焙煎のセオリーなのに、深い領域のある地点で煎り止めをすると、心地よいミルキーな甘さと華やかさに出合うことがあるのです。質感もとろみが増します。これが今回の大きな学びでした。これに伴い、当店に並んでいる他のグアテマラとコスタリカの豆も、若干深めに焙煎を移行したところです。感じ方によっては、以前より力強さを感じるかもしれません。その場合は、挽き目をほんの少しだけ粗めに挽いて調整してみてください。きっと、私の言う細かいニュアンスを感じるはずです。

日々、当店の焙煎は進化しているつもりです。最適な焙煎により品質を落とさないように、改善の余地がある場合は素直に向き合います。コーヒー農家さんとの距離は離れておりますが、ロースターは彼らの情熱を真摯に受け継ぐべきなのです。

 

 

Lover’s Coffee

 

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