私がコーヒーに対して重要視していること。それは、アフターテイスト(後味の印象度)の心地よさ。後味に素材の甘さを感じ、口の中に心地よい余韻がいつまでも残るコーヒーを、私は理想としております。そのためには、コーヒーの透明感が最低条件であり、際立った風味や酸の質、質感(マウスフィール)、素材の甘さ、それらの各項目を高いレベルまで満たさなければなりません。
当店にお越しいただいたお客様はお分かりだと思いますが、当店に並んでいるコーヒー豆は、ローストが浅過ぎるもの、逆に深過ぎるものがありません。それは、極端な焙煎度合では、前述の各項目をバランスよく高いレベルまで満たすことができないと考えているからです。フルーティーな豆のローストは浅めにするにしても、中煎り寄りにローストし、チョコやアーモンド系といった落ち着いた風味の豆は、深煎りの手前でローストを止めます。中煎りや中深煎りの範囲内が経験上、バランスが満たされ、尚且つアフターテイストが心地よいと実感しております。毎日ローストしてはテイスティングで確認、それをを繰り返し、各豆の個性が一番発揮できるポイントを日々探っていくのです。
日常、ときには皆さんも私生活や職場でうまくいかないときがあると思います。ささいなことで家族と小競り合いになる日もあれば、職場では嫌なことを言われる日もあったり。身と心がどんより疲れる日も。長い目でみれば大したことではないのかもしれないけれど、その日だけでみれば、ストレスに侵されていると思います。そんなときに、私は当店のコーヒーが皆様のお役に立てればと常々思っております。私が意図している心地よく長い後味のコーヒーを飲むことで、その日感じたストレスを浄化してほしいのです。夕方の帰り道、口の中に余韻が残った状態で「まあ、いいか」の一言がでるかどうか。コーヒー屋ができる社会貢献はそんなところです。コーヒーで命は救えないけれど、日々のストレスは浄化できると信じています。
Long after taste. 是非、日常に取り入れてみてください。
癒しとエールを。