スタバがない。映画館がない。ファッションビルがない。ボク、こんな街イヤだ。
わかりますよ。でも、会津にこれらがほぼ揃っていることを想像してみて下さい。
ボクの街にはスタバがあって、映画館付きのショッピングモールもあって、ファッションビルもある。その近くには鶴ヶ城がある。
羨ましいのかよく分からなくなります。(私は街に街路樹が欲しい)
小さいコーヒー屋の店主でも、「どんな街が住んでて楽しいのか、また、どんな街が他所の方から魅力的に見えるのか」、ふと、この会津のことを考えるときがあります。大前提として無視できないことは、会津も少子高齢化が急速に進み、若者は都会で就職、住んでいる方の休日は、会津盆地の外の空気を吸いたいが為に、近隣の地方都市へ外出するという性格があること。そして、平成の約30年間で、会津の中心部にはデパートと映画館が消えたこと。寂しいですが、これらは現実として受け入れなければなりません。
以前、当店は小さいながらも、コーヒー豆の販売の他に、カフェメニューや(紙コップによる)テイクアウトコーヒーも提供し、間口を広げて営業しておりました。約2年半後、お店はどうなったか。結果はパンクしかけました。資金面ではなくて、オペレーションや仕事量の面で。過去の2年半で感じたことは、自店や自分を見つめ直して、本当に伸ばしたい根っこのところを伸ばし、他は思い切って他所や他店に任せるしかないということ。これは街づくりでも同じだと思います。大資本が必要な娯楽施設は、開き直って他所にお任せしてもよいのではないでしょうか。そもそも、外国人や都会からの観光客は、画一化された地方都市にはないもの、要は「とがったもの」を求めて会津にお越しになるはずです。とがった多くの酒蔵が相乗効果となり、街の魅力となっている会津の日本酒文化は、地元の方も他所の方も、続いていってほしいと願う好例だと思います。
私は、吉田類さんの「酒場放浪記」というテレビ番組が好きでよく見ています。類さんは、日本全国にある個人店の居酒屋を回り、地元の人に交じってお酒を飲み、そのお店を紹介しますが、最後にはろれつが回らなくなり、全身黒い服の酔っ払いになるという番組です。私が思うに、この番組の面白さとは、その土地の面白さを知ることと直結しているのではないかと考えています。その土地に住んでいる人たちが、どう生活を謳歌しているのか、酒場というほんの一部分だけでもそれが垣間見れるって素敵なことじゃないですか。観光名所も重要スポットですが、会津もそこに頼りきらず、地元の人が地元の個人店や各スポットで楽しみ尽くす。他所の人も観光名所を回るけれど、そこにプラス、スマホの検索だけでは知りえない、土着している人たちの楽しみを五感で感じ取ってもらう。ここで生活するのも楽しそうと思っていただけたら嬉しくないですか。
会津に大資本の娯楽施設がないのであれば、独自性を追求した小さな個人店、企業、各スポットがとんがりつつ、大きい一つの集合体のように見えるような街になったら素敵だと思います。Lover’sCoffeeも独自性を追求した個人店として仲間入りできるよう、日々励んで参ります。当店は「~っぽい」と単に例えられないようなお店づくりをしなければなりません。それは、そこにしかない空気感です。
会津の方は、是非、当店でコーヒーライフを楽しみ尽くして下さい。そして、他所の方は、吉田類さんになったつもりで、この店の空気を感じて下さい。会津の人が、どんなコーヒーライフを送っているのかということも。
今年に限らず、この先もずっと心掛けることは、お店として、法人として、人として、健康でここにずっと在り続けること。
今年もいい年にします。
Lover’sCoffee