伝えきれておりませんが、店主の私にとって最も思い入れのある商品が「Blend Lover’s Coffee」です。
実際の売れ行きはというと、私の思いとは裏腹に、お客様はシングルオリジン(単一農園産)のほうを選ばれます。例えば「エチオピア・イルガチェフェ」といった名だたるコーヒーの名産地が商品名に記されていると、いつもブレンドコーヒーはそれに負けてしまいます。いわゆるブランドイメージによる敗北です。自分のお店のメニューの中で優劣を競っても仕方のないことですが。
ブレンドコーヒーはなぜ特別なイメージがないのでしょうか。混ぜ物といった、どこか廉価版の商品にみえるのでしょうか。はたまた、個性が弱いコーヒーだと思われるのでしょうか。

私は一見、穏やかなおじさんに見えますが、このスペシャルティコーヒー業界が消費者に対して印象付けしてきた様々なことに抵抗を持っています。それらを全部言ってしまうと私は損するので小出しにしていきますが、ひとつはこのシングルオリジン偏重の考え方です。たしかに、シングルオリジンは生産者の名前をはじめ、品種、農園の標高、細かい精製方法など生産履歴が細かく記されているため、その土地ならではのコーヒーを理解できるかと思います。また、いくつかの豆をブレンドしてしまうと、スペシャルティコーヒーが提唱する産地個性をぼかしてしまい、生産者の方々に失礼ではないかという意見もございます。私もその意見は承知しております。生産者の努力の結晶は、正当に味覚評価がなされるべきなのです。
その点を鑑み、「Blend Lover’s Coffee」に配合している4種類の豆※は、すべてシングルオリジンとして、店内と自販機のメニューのなかに存在し、各々の風味特性を味わうことができます。そして、それらがブレンドとして掛け算のように交わると、果たしてどんなコーヒーが生み出されるのか。配合している豆それぞれの個性を尊重していれば、それらを使用したブレンドを展開してもよいのではないかと私は考えるのです。では、私が理想とするブレンドコーヒーとは。

※配合の4種類の豆
・グアテマラ ロズマ農園ナチュラル 浅煎り 30%
・コロンビア Lactic 中煎り 30%
・エチオピア イルガチェフェ Lactic 浅煎り 20% ※今後入れ替え予定
・ケニア AB 中煎り 20%
それは、音楽でいう和音、または四重奏のような重層的なハーモニー、厚みのある質感、そして、ひたすら長い余韻。この3点です。シングルオリジンでは、これらすべてを備えることは難しいのです。たとえ酸味が苦手なお客様でも、当店の「Blend Lover’s Coffee」なら、今までの概念を超えて飲んで下さると信じています。
「スペシャルティコーヒーって、薄くて酸っぱいやつですよね」。
これからも、度々お聞きするこのフレーズに対し、私は辛抱強く向き合ってゆくのです。
Lover’s Coffee








